光と色の話 第一部

第5回 放射量 と 測光量(その2)

~センサー測定量・・・「器械の眼」が感じる「明るさ」~

はじめに

前回は、放射量の最も基本である「放射束」と、測光量の最も基本である「光束」との関係について説明しました。両者は、幾何学的条件については共通で、分光的条件が異なります。つまり、「光束」は、純粋な物理エネルギーの流れである「放射束」を、幾何学的に同じ条件下で「人間の眼」の特性・・・標準分光視感効率 V ( λ )・・・で評価したときの「明るさ」です。
マシンビジョンでは、この放射束を「人間の眼」とは異なる特性をもつ「器械の眼」で観察する訳ですから、「光束」という測光量をマシンビジョンにそのまま適用するのは問題がある、ということになりますね。今回は、「人間の眼」による「明るさ」の評価である「測光量」に対応するものとして、「器械の眼」による「明るさ」の評価について述べることにします。

「放射束」 を 「器械の眼」 で見た場合はどうなるか?

純粋の電磁的エネルギーの流れである放射束を「人間の眼」で評価したものが光束ですが、「人間の眼」の代わりに「器械の眼」でこの放射束を評価した場合はどうなるでしょうか?

前回(第4回)の説明・・・「人間の眼」の特性で放射束を評価した場合の説明・・・と同様に考えて、或る「器械の眼」が受ける刺激の大きさは、「人間の眼」を「その器械の眼」に置き換えればよい、ということがわかりますね。

ただ、第2回で説明しましたように、「器械の眼」には様々な種類があり、「人間の眼」の標準分光視感効率 V ( λ ) のように一義的にその特性が規定されている訳ではなく、その器械の目的に応じてその感度特性が設定されています。つまり、その器械の目的によって、その分光応答度・・・波長範囲や波長毎の感度の高低・・・の形状や感度レベルが異なります。
従って、同じ放射束に対しても「器械の眼」の種類によって受ける刺激の量は異なることになります。

「器械の眼」で見た「明るさ」
・・・光源の分光分布 P (λ) と 器械の眼 S (λ) の関係

例えば、右図のような、UV-LED 、Green LED 、IR-LED の 3 種の光源について考えてみましょう。図の LED の分光分布曲線で囲まれた面積が放射束値になり、3 種とも等しい放射束値 1 ワット [ W ] になっています。

これらを「人間の眼 V ( λ ) 」および「器械の眼 S ( λ ) 」で評価した場合を考えます。
これらの UV-LED や IR-LED がエネルギーをもつ波長帯に、人間の眼 V ( λ ) は感度が殆どあるいは全くありませんので、刺激を受けることはなく、即ち「真っ暗」であることが分かります。Green LED に対しては、V ( λ ) の波長帯が重なっているので刺激を受ける、即ち「明るさ」が感じられることがわかります。
それに対して、「器械の眼」の例・・・この場合は UV センサー・・・の S ( λ ) では、Green LED と IR - LED に対しては「機械の眼」が感度をもつ波長帯から外れていますので刺激を受けることはなく「真っ暗」ですが、UV - LED に対しては「明るさ」を感じることが分かります。感度特性が異なる別種の UV センサーでは、感じる「明るさ」の程度が異なることになることは容易に分かっていただけると思います。

以上からわかりますように、或る特定の「器械の眼」に限定すれば、その分光応答度も固定され、単位を設けることも理論的には可能にはなります。
特殊な「器械の眼」の場合にはその目的に応じた単位が設けられている場合 ※1 もありますが、通常のマシンビジョンの領域では、残念ながら現時点では基準の「器械の眼」は一般にはまだ設定されていません。従って、「器械の眼」が受ける刺激の量(明るさ)の単位は任意単位となり、条件が固定された下での相対評価のみが可能となります。

つまり、評価対象の「光」が可視域にエネルギー成分を持ち、かつその分光分布特性 P ( λ ) が固定された条件の下では、測光量を用いても「可視域に感度を持つ器械の眼」に対しては“相対的”な明るさの比較評価が可能ですが、分光分布特性 P ( λ ) が異なる「光」同士の間では、もはや測光量では「機械の眼」で感じる明るさの正しい比較評価はできません。ましてや可視域にエネルギーを持たない紫外や赤外の放射に対しては、どんな分光分布であっても測光量表記では「明るさ」は全てゼロ、すなわち“真っ暗”となってしまい、相対比較すらも不可能になってしまいます。

このように、マシンビジョン領域においては、ルーメン [ lm ] を基本単位とする測光量で評価するのは適切ではないことがご理解いただけるものと思います。ただ、測光量に代わる適切な単位系が存在する訳でもありません。殆どの場合、対象とする「器械の眼」の特性を固定・・・例えばカメラの機種を固定・・・した上で任意単位※2により相対比較評価で対応しているのが一般的です。

まとめ

前回から今回にかけて、「放射束」と「光束」の場合を例にとって、「放射量」と「測光量」の関係をお話しし、その考え方を「人間の眼」から「器械の眼」に拡張して説明してきました。
次回からは「放射束」以外の放射量(「放射エネルギー」、「放射照度」、「放射発散度」、「放射強度」、「放射輝度」)、および「光束」以外の測光量(「光量」、「照度」、「光束発散度」、「光度」、「輝度」)について、その幾何学的概念を同様な例え話を交えながら説明していきます。

注釈

※1 葉緑素による光合成作用を起こさせる光の照射量の単位

植物のクロロフィル(葉緑素)は、波長範囲 400 ~700 nm の光を受けて光合成を行います。植物に入射する光が光合成にどれだけ作用するかを示す光の量として、「光合成光量子束密度( photosynthetic photon flux density , PPFD )」という測定量が規定されています。光合成の作用スペクトル特性は、クロロフィルに入射するフォトン数に強い相関があり、近似的に右図のような特性で評価することが行われています。

つまり、光合成光量子束密度を測定する測定器には、この特性に合わせた感度特性を持たせてやる必要があります。
「光合成光量子束密度( PPFD )」は、[ μmol ・ m-2 ・ s-1 ] という特別に設けられた単位で表記されます。
なお、シーシーエス株式会社では、植物工場用の照明装置についても、このような測定評価技術を駆使しながら先進的研究開発に取り組んでいます。

※2 「器械の眼」による明るさの単位

上述のように、任意の「器械の眼」に対する「明るさ」の単位は一般には設けられていないのですが、刺激を受ける側(器械の眼)の相対分光応答度 S ( λ ) が固定されれば、刺激量(明るさ)の相対評価は可能になります。このときの「明るさ」の表記単位として「実効放射量」という考え方の下にワット [ W ] 単位系が代用されることがあります。これは、固定された条件の下で受ける刺激量(明るさ)を、純粋エネルギー量に換算すればこの数値になる、という意味です。少し紛らわしいので注意が必要です。

放射量 と 測光量(その2)
センサー測定量・・・「器械の眼」が感じる「明るさ」

光と色の話 第一部

第5回 放射量 と 測光量(その2)

~センサー測定量・・・「器械の眼」が感じる「明るさ」~

はじめに

前回は、放射量の最も基本である「放射束」と、測光量の最も基本である「光束」との関係について説明しました。両者は、幾何学的条件については共通で、分光的条件が異なります。つまり、「光束」は、純粋な物理エネルギーの流れである「放射束」を、幾何学的に同じ条件下で「人間の眼」の特性・・・標準分光視感効率 V ( λ )・・・で評価したときの「明るさ」です。
マシンビジョンでは、この放射束を「人間の眼」とは異なる特性をもつ「器械の眼」で観察する訳ですから、「光束」という測光量をマシンビジョンにそのまま適用するのは問題がある、ということになりますね。今回は、「人間の眼」による「明るさ」の評価である「測光量」に対応するものとして、「器械の眼」による「明るさ」の評価について述べることにします。

「放射束」 を 「器械の眼」 で見た場合はどうなるか?

純粋の電磁的エネルギーの流れである放射束を「人間の眼」で評価したものが光束ですが、「人間の眼」の代わりに「器械の眼」でこの放射束を評価した場合はどうなるでしょうか?

前回(第4回)の説明・・・「人間の眼」の特性で放射束を評価した場合の説明・・・と同様に考えて、或る「器械の眼」が受ける刺激の大きさは、「人間の眼」を「その器械の眼」に置き換えればよい、ということがわかりますね。

ただ、第2回で説明しましたように、「器械の眼」には様々な種類があり、「人間の眼」の標準分光視感効率 V ( λ ) のように一義的にその特性が規定されている訳ではなく、その器械の目的に応じてその感度特性が設定されています。つまり、その器械の目的によって、その分光応答度・・・波長範囲や波長毎の感度の高低・・・の形状や感度レベルが異なります。
従って、同じ放射束に対しても「器械の眼」の種類によって受ける刺激の量は異なることになります。

「器械の眼」で見た「明るさ」
・・・光源の分光分布 P (λ) と 器械の眼 S (λ) の関係

例えば、右図のような、UV-LED 、Green LED 、IR-LED の 3 種の光源について考えてみましょう。図の LED の分光分布曲線で囲まれた面積が放射束値になり、3 種とも等しい放射束値 1 ワット [ W ] になっています。

これらを「人間の眼 V ( λ ) 」および「器械の眼 S ( λ ) 」で評価した場合を考えます。
これらの UV-LED や IR-LED がエネルギーをもつ波長帯に、人間の眼 V ( λ ) は感度が殆どあるいは全くありませんので、刺激を受けることはなく、即ち「真っ暗」であることが分かります。Green LED に対しては、V ( λ ) の波長帯が重なっているので刺激を受ける、即ち「明るさ」が感じられることがわかります。
それに対して、「器械の眼」の例・・・この場合は UV センサー・・・の S ( λ ) では、Green LED と IR - LED に対しては「機械の眼」が感度をもつ波長帯から外れていますので刺激を受けることはなく「真っ暗」ですが、UV - LED に対しては「明るさ」を感じることが分かります。感度特性が異なる別種の UV センサーでは、感じる「明るさ」の程度が異なることになることは容易に分かっていただけると思います。

以上からわかりますように、或る特定の「器械の眼」に限定すれば、その分光応答度も固定され、単位を設けることも理論的には可能にはなります。
特殊な「器械の眼」の場合にはその目的に応じた単位が設けられている場合 ※1 もありますが、通常のマシンビジョンの領域では、残念ながら現時点では基準の「器械の眼」は一般にはまだ設定されていません。従って、「器械の眼」が受ける刺激の量(明るさ)の単位は任意単位となり、条件が固定された下での相対評価のみが可能となります。

つまり、評価対象の「光」が可視域にエネルギー成分を持ち、かつその分光分布特性 P ( λ ) が固定された条件の下では、測光量を用いても「可視域に感度を持つ器械の眼」に対しては“相対的”な明るさの比較評価が可能ですが、分光分布特性 P ( λ ) が異なる「光」同士の間では、もはや測光量では「機械の眼」で感じる明るさの正しい比較評価はできません。ましてや可視域にエネルギーを持たない紫外や赤外の放射に対しては、どんな分光分布であっても測光量表記では「明るさ」は全てゼロ、すなわち“真っ暗”となってしまい、相対比較すらも不可能になってしまいます。

このように、マシンビジョン領域においては、ルーメン [ lm ] を基本単位とする測光量で評価するのは適切ではないことがご理解いただけるものと思います。ただ、測光量に代わる適切な単位系が存在する訳でもありません。殆どの場合、対象とする「器械の眼」の特性を固定・・・例えばカメラの機種を固定・・・した上で任意単位※2により相対比較評価で対応しているのが一般的です。

まとめ

前回から今回にかけて、「放射束」と「光束」の場合を例にとって、「放射量」と「測光量」の関係をお話しし、その考え方を「人間の眼」から「器械の眼」に拡張して説明してきました。
次回からは「放射束」以外の放射量(「放射エネルギー」、「放射照度」、「放射発散度」、「放射強度」、「放射輝度」)、および「光束」以外の測光量(「光量」、「照度」、「光束発散度」、「光度」、「輝度」)について、その幾何学的概念を同様な例え話を交えながら説明していきます。

注釈

※1 葉緑素による光合成作用を起こさせる光の照射量の単位

植物のクロロフィル(葉緑素)は、波長範囲 400 ~700 nm の光を受けて光合成を行います。植物に入射する光が光合成にどれだけ作用するかを示す光の量として、「光合成光量子束密度( photosynthetic photon flux density , PPFD )」という測定量が規定されています。光合成の作用スペクトル特性は、クロロフィルに入射するフォトン数に強い相関があり、近似的に右図のような特性で評価することが行われています。

つまり、光合成光量子束密度を測定する測定器には、この特性に合わせた感度特性を持たせてやる必要があります。
「光合成光量子束密度( PPFD )」は、[ μmol ・ m-2 ・ s-1 ] という特別に設けられた単位で表記されます。
なお、シーシーエス株式会社では、植物工場用の照明装置についても、このような測定評価技術を駆使しながら先進的研究開発に取り組んでいます。

※2 「器械の眼」による明るさの単位

上述のように、任意の「器械の眼」に対する「明るさ」の単位は一般には設けられていないのですが、刺激を受ける側(器械の眼)の相対分光応答度 S ( λ ) が固定されれば、刺激量(明るさ)の相対評価は可能になります。このときの「明るさ」の表記単位として「実効放射量」という考え方の下にワット [ W ] 単位系が代用されることがあります。これは、固定された条件の下で受ける刺激量(明るさ)を、純粋エネルギー量に換算すればこの数値になる、という意味です。少し紛らわしいので注意が必要です。

放射量 と 測光量(その2)
センサー測定量・・・「器械の眼」が感じる「明るさ」

光と色の話 第一部

第5回 放射量 と 測光量(その2)

~センサー測定量・・・「器械の眼」が感じる「明るさ」~

はじめに

前回は、放射量の最も基本である「放射束」と、測光量の最も基本である「光束」との関係について説明しました。両者は、幾何学的条件については共通で、分光的条件が異なります。つまり、「光束」は、純粋な物理エネルギーの流れである「放射束」を、幾何学的に同じ条件下で「人間の眼」の特性・・・標準分光視感効率 V ( λ )・・・で評価したときの「明るさ」です。
マシンビジョンでは、この放射束を「人間の眼」とは異なる特性をもつ「器械の眼」で観察する訳ですから、「光束」という測光量をマシンビジョンにそのまま適用するのは問題がある、ということになりますね。今回は、「人間の眼」による「明るさ」の評価である「測光量」に対応するものとして、「器械の眼」による「明るさ」の評価について述べることにします。

「放射束」 を 「器械の眼」 で見た場合はどうなるか?

純粋の電磁的エネルギーの流れである放射束を「人間の眼」で評価したものが光束ですが、「人間の眼」の代わりに「器械の眼」でこの放射束を評価した場合はどうなるでしょうか?

前回(第4回)の説明・・・「人間の眼」の特性で放射束を評価した場合の説明・・・と同様に考えて、或る「器械の眼」が受ける刺激の大きさは、「人間の眼」を「その器械の眼」に置き換えればよい、ということがわかりますね。

ただ、第2回で説明しましたように、「器械の眼」には様々な種類があり、「人間の眼」の標準分光視感効率 V ( λ ) のように一義的にその特性が規定されている訳ではなく、その器械の目的に応じてその感度特性が設定されています。つまり、その器械の目的によって、その分光応答度・・・波長範囲や波長毎の感度の高低・・・の形状や感度レベルが異なります。
従って、同じ放射束に対しても「器械の眼」の種類によって受ける刺激の量は異なることになります。

「器械の眼」で見た「明るさ」
・・・光源の分光分布 P (λ) と 器械の眼 S (λ) の関係

例えば、右図のような、UV-LED 、Green LED 、IR-LED の 3 種の光源について考えてみましょう。図の LED の分光分布曲線で囲まれた面積が放射束値になり、3 種とも等しい放射束値 1 ワット [ W ] になっています。

これらを「人間の眼 V ( λ ) 」および「器械の眼 S ( λ ) 」で評価した場合を考えます。
これらの UV-LED や IR-LED がエネルギーをもつ波長帯に、人間の眼 V ( λ ) は感度が殆どあるいは全くありませんので、刺激を受けることはなく、即ち「真っ暗」であることが分かります。Green LED に対しては、V ( λ ) の波長帯が重なっているので刺激を受ける、即ち「明るさ」が感じられることがわかります。
それに対して、「器械の眼」の例・・・この場合は UV センサー・・・の S ( λ ) では、Green LED と IR - LED に対しては「機械の眼」が感度をもつ波長帯から外れていますので刺激を受けることはなく「真っ暗」ですが、UV - LED に対しては「明るさ」を感じることが分かります。感度特性が異なる別種の UV センサーでは、感じる「明るさ」の程度が異なることになることは容易に分かっていただけると思います。

以上からわかりますように、或る特定の「器械の眼」に限定すれば、その分光応答度も固定され、単位を設けることも理論的には可能にはなります。
特殊な「器械の眼」の場合にはその目的に応じた単位が設けられている場合 ※1 もありますが、通常のマシンビジョンの領域では、残念ながら現時点では基準の「器械の眼」は一般にはまだ設定されていません。従って、「器械の眼」が受ける刺激の量(明るさ)の単位は任意単位となり、条件が固定された下での相対評価のみが可能となります。

つまり、評価対象の「光」が可視域にエネルギー成分を持ち、かつその分光分布特性 P ( λ ) が固定された条件の下では、測光量を用いても「可視域に感度を持つ器械の眼」に対しては“相対的”な明るさの比較評価が可能ですが、分光分布特性 P ( λ ) が異なる「光」同士の間では、もはや測光量では「機械の眼」で感じる明るさの正しい比較評価はできません。ましてや可視域にエネルギーを持たない紫外や赤外の放射に対しては、どんな分光分布であっても測光量表記では「明るさ」は全てゼロ、すなわち“真っ暗”となってしまい、相対比較すらも不可能になってしまいます。

このように、マシンビジョン領域においては、ルーメン [ lm ] を基本単位とする測光量で評価するのは適切ではないことがご理解いただけるものと思います。ただ、測光量に代わる適切な単位系が存在する訳でもありません。殆どの場合、対象とする「器械の眼」の特性を固定・・・例えばカメラの機種を固定・・・した上で任意単位※2により相対比較評価で対応しているのが一般的です。

まとめ

前回から今回にかけて、「放射束」と「光束」の場合を例にとって、「放射量」と「測光量」の関係をお話しし、その考え方を「人間の眼」から「器械の眼」に拡張して説明してきました。
次回からは「放射束」以外の放射量(「放射エネルギー」、「放射照度」、「放射発散度」、「放射強度」、「放射輝度」)、および「光束」以外の測光量(「光量」、「照度」、「光束発散度」、「光度」、「輝度」)について、その幾何学的概念を同様な例え話を交えながら説明していきます。

注釈

※1 葉緑素による光合成作用を起こさせる光の照射量の単位

植物のクロロフィル(葉緑素)は、波長範囲 400 ~700 nm の光を受けて光合成を行います。植物に入射する光が光合成にどれだけ作用するかを示す光の量として、「光合成光量子束密度( photosynthetic photon flux density , PPFD )」という測定量が規定されています。光合成の作用スペクトル特性は、クロロフィルに入射するフォトン数に強い相関があり、近似的に右図のような特性で評価することが行われています。

つまり、光合成光量子束密度を測定する測定器には、この特性に合わせた感度特性を持たせてやる必要があります。
「光合成光量子束密度( PPFD )」は、[ μmol ・ m-2 ・ s-1 ] という特別に設けられた単位で表記されます。
なお、シーシーエス株式会社では、植物工場用の照明装置についても、このような測定評価技術を駆使しながら先進的研究開発に取り組んでいます。

※2 「器械の眼」による明るさの単位

上述のように、任意の「器械の眼」に対する「明るさ」の単位は一般には設けられていないのですが、刺激を受ける側(器械の眼)の相対分光応答度 S ( λ ) が固定されれば、刺激量(明るさ)の相対評価は可能になります。このときの「明るさ」の表記単位として「実効放射量」という考え方の下にワット [ W ] 単位系が代用されることがあります。これは、固定された条件の下で受ける刺激量(明るさ)を、純粋エネルギー量に換算すればこの数値になる、という意味です。少し紛らわしいので注意が必要です。

放射量 と 測光量(その2)
センサー測定量・・・「器械の眼」が感じる「明るさ」

Q1.参考になりましたか?
Q2.次回連載を期待されますか?
Q3.連載の感想がありましたらご記入ください。

アンケートにご協力いただきありがとうございました。