エリアカメラ1台で!? 3次元データを高精度に得る方法

(2025年11月)

寸法計測などの各種検査をする際に、特定の部位の高さ情報が必要になることがあります。
しかし、高さ情報を含む3次元データの取得は、必要な精度が出なかったり、
専用の機器が必要だったり、といった課題がつきものです。
今回は、そういった課題を一気に解決できる画期的な方法をご紹介します。

登場人物

  • ライティングコンサルタント Aくん・・・・数多くの難案件をライティング技術で解決に導くコンサルタント
  • 営業マン Eくん・・・配属されて間もない素直さが取り柄の期待の新人営業マン
  • O課長・・・小型電子部品の加工を手掛けるメーカーで検査自動化に取り組む担当者

今日はお客様から難しいテーマの相談があるということで、午後にご来社いただく予定です。

Aくん

「うわ!なんだ!ミイラ男の真似でもしてるのか?
 ハロウィンは、とっくに過ぎてるぞ!?」

 

営業 Bくん

「パックだよ、パック!
 これまでは俺の顔は肉まんみたいだね。って言われてたのに
 先日、しなびたジャガイモみたいって言われてな。
 ちょっとショックでお肌のケアをはじめたところだ。」

 

Aくん

「肉まんはほめ言葉なのか?
 肉まんでもジャガイモでも大して変わらないと思うけど?」

 

営業 Bくん

「わかってないなぁ。肌のハリが全然違うだろ?美味しさも雲泥の差だ!」

 

Aくん

「いや、お前の顔を食べたいと思ったことないし...。」

ピンポーン...。

 

 

O課長

「ごめんくださーい!」

 

Aくん

「あ!ほら、お客様がいらっしゃったぞ!
 ミイラ男はやめて、早くお迎えにいくぞ。」

 

営業 Bくん

「いらっしゃいませーっ!O課長、お肌の乾燥するこの時期に、ようこそいらっしゃいました!」

 

O課長

「お肌? 何かよくわからないけど、今日は期待しているよ!」

 

営業 Bくん

「お任せください! 早速、内容を詳しく教えていただけますか?」

 

O課長

「この部品をよく見てほしいんだけど、端子がいくつも出てるでしょ?
 この端子の曲がりが非常に重要なんだけど、モノによっては曲げが不十分だったり、
 逆に曲がりすぎていたりして、それが問題になってるんだ。」

 

Aくん

「確かに横から見ると、端子の先端が上がっている個所、下がっている個所がありますね。
 横から観察できればその違いが捉えられそうですね。」

 

O課長

「そうなんだよ。横から見て検査できると一番いいんだけど、
 検査装置を置ける場所が、この部品をキャリアテープのポケットに入れた後になるんだよ。
 上面はテープが無いから見れるけど、横からは観察できなくて、どうしたものかと相談に来たんだ。」

 

営業 Bくん

「いや~、この小さい部品を上から見ても、
 端子が浮いてるか沈んでるかなんて、全然わかりませんよー。」

 

O課長

「そうだよね~。よっぽど大きな差ならわかるかもしれないけど、
 そもそも真上から1ミリにも満たないこの僅かな高さの違いを判別するなんて
 土台無理な話だよね...。」

 

Aくん

「あきらめるのはまだ早いですよ。ちょうど別件で使用している特殊なカメラがあるんですが、
 そちらを試してみませんか?」

 

O課長

「もちろん、可能性があるなら何でも試したいよ!」

 

Aくん

「では、隣の部屋にセッティングしてあるので、こちらにどうぞ。」

 

O課長

「え?これ?少し大きめのカメラが付いてはいるけど、
 よく使用してる産業用のエリアカメラとそんなに大きく変わらないような見た目だね。
 これでホントに高さ情報が得られるの?」

 

Aくん

「まあ、百聞は一見にしかずです。では、ワークをちょっとお借りして...。」

 

 

パチッ!

 

 

Aくん

「はい。撮り終えました。」

 

O課長

「え?もう撮像終わったの?何か一瞬だったね。」

 

Aくん

「では、取得した画像を3次元表示にしましたのでご覧ください!」

 

O課長

「な、何じゃこりゃー!カメラは1台で真上から見てるだけなのに、立体視の画像が撮れている!
 しかもかなりわずかな浮きだったのに、違いが克明に出せている!
 このカメラは一体!?」

 

Aくん

「はい、こちらのカメラはライトフィールドカメラというものになります。
 なぜこんなことが1台のカメラでできるのかというと、
 秘密はこのセンサ前面に設けられたマイクロレンズアレイにあるんです。」

 

O課長

「マイクロレンズアレイ?小さいレンズがいっぱい並んで付いてるってこと?」

 

Aくん

「その通りです!
 このカメラはマイクロレンズアレイを使って、昆虫の複眼のように、
 たくさんの目で物体を観察しているんです。」

 

O課長

「ほ~、それでモノが立体的に見えるの?」

 

Aくん

「はい。 我々の目や、3D撮像で使われるステレオカメラもそうですが、
 左右の眼でモノを見ることで、それぞれの視差で立体視をしています。
 ライトフィールドカメラは見た目は一眼ですが、
 内部のレンズアレイを用いて視差をつくることで、立体視が可能なんです。」

 

O課長

「相談しておきながら、まさか上面から一発で
 これほどまでの精度で高さ情報を得られる手法があるなんて思ってもみなかったよ!」

 

Aくん

「この手法を用いればミクロンオーダーでの計測も可能ですし、
 移動体に対してもエリアカメラでの検査と同様に対応することが可能なんです。」

 

O課長

「ということは、撮像時にワークを静止させなくても3次元撮像ができるっていうことなの?」

 

Aくん

「はい。このライトフィールドカメラを用いれば、
 1枚の画像から3次元形状が復元できるので、
 照明をストロボ同期させて、ブレない画像が取れればワークを止める必要がなく、
 通常のエリアカメラで撮像するのとまったく同じ感覚で3次元画像が取得できるんです。」

O課長

「聞けば聞くほど魅力的なシステムだね。早速この結果を社内に持ち帰って検討させてもらうよ。」

 

Aくん

「ぜひ、お願いします!実際はこのカメラで画像取得する際には
 物体形状に合わせて如何に光を均一に照射するかといったライティングの部分も
 かなり重要になってまいりますので、その点も併せてしっかりサポートさせていただきます。」

 

O課長

「なるほど、それなら一式まとめて相談させてもらおうかな。
 あれ?ところでBくんは何を撮像しているんだい?」

 

営業 Bくん

「ご覧ください!私の肌もライトフィールドカメラで見れば、こんなに立体的に見えますよ!
 どうですか?プルップルの肉まんのようなハリのある肌でしょう?」

 

Aくん

「こらーっ!そんなしょうもないもんを最新設備で撮るんじゃないわー!」

 

O課長

「てっきり、しなびたジャガイモを撮像したのかと思った...。」

 

営業 Bくん

「ぐすん...。」


おわり

ライトフィールドカメラ

VOMMA社 ライトフィールドカメラ

イメージセンサー前に配置したマイクロレンズアレイとメインレンズを組み合わせ、1ショットで2D画像と3D情報を取得できるカメラです。各ピクセルごとのライトフィールド情報を取得・演算することで、対象物のさまざまな位置に焦点を合わせられます。

LED照明をしたライティング技術と組み合わせることで、レーザー光源を活用した方法に比べノイズを抑えたデータ取得が可能です。

シーシーエスは、VOMMA社のライトフィールドカメラを活用した3D計測ソリューションをご提案します。特徴点をしっかり捉えることができるライティング技術と組合せ検査に適した環境をご提案します。テスティングルームで実験いただけますので、お気軽にお問合せください。

ライトフィールドカメラ 資料ダウンロード

撮像事例:CMOSの金ワイヤー

2次元画像だけではワイヤーのわずかな高低差は観察できませんが、ライトフィールドカメラなら同時に取得可能な3Dデータで、ミクロンオーダーの高低差や接合部の状態を明確に可視化できます。

2次元画像
2次元画像
23次元点群データ
3次元点群データ

撮像事例:CMOSの金ワイヤー

ワイヤーボンディングの形状検査
ハンダの凹凸形状検査
コネクタピンの高低差測定
 等、ミクロンオーダーの3次元測定が要求されるアプリケーションに向いています。


本製品は、評価機貸出のほか、シーシーエスのテスティングルームで、
ライティングコンサルタントにご相談いただきながらお試しいただくことが可能です。

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